<<葉月 流亜様から頂いたトラパスSS!>>
勿論、無断転載厳禁!あとがきは省略させていただきました;すいません!
それでは素敵SSをご堪能あれwww
明日は自分の誕生日だ。
そう思いながら、トラップは街を歩いていた。
なんとなくそういう日は心なしか嬉しくなるもので。
−−−その光景を目にするまでは。
「嘘・・・・・・だろ?」
そこにあったのは自分の想い人と幼なじみが仲良く宝石店に入って行く姿だった。
『想いと心、一つに』
キレかかったのを必死で抑えたトラップ。
そもそも、うちのパーティに宝石やら何やら買う金があるはずない、と
ある意味淋しい事を考えながら。
けれど、パステルが何か包みを持って来てクレイと一緒に出て来たら話は別だろう。
なんとなくおもしろくなくて、その場から離れる。
二人には気付かれないようにこっそりと。
そこは盗賊。うまくやれる。
だから、後の二人の会話は聞いていなかった。
「ありがとう、クレイ。こんな素敵なの、私一人じゃ選べなかったよ。」
「どういたしまして。俺で良ければいつでも相談に乗るよ。
明日の告白もきっとうまく行くよ。」
「うん・・・まだ少し不安だけど、頑張ってみるよ。」
トラップはぶつぶつと呟きながら歩いていた。
「なんだよ・・・結局、パステルも面食いなんじゃねぇかよ。
・・・・・・うちのパーティには金ないって
いつも言ってる奴が行くか、ふつー、宝石屋。
そもそも明日は俺の−−−トラップの誕生日じゃないのかよ。」
「大丈夫、トラップ君?」
そんな独り言に答える声があった。
いつの間に来たのか、トラップと同じ位の女の子が目の前にいた。
「うわっ!なんだよ、お前、いつの間に・・・?それに俺の名前、なんで知ってんの?」
「結構前からいたよ?トラップ君が気付いてなかっただけで。
名前は今、自分で言ってたから。」
「一体・・・お前はなんなんだ?」
「ただの異邦人(ストレンジャー)だよ。
それよりもさ、私と同じ位の男の子、見なかった?」
「お前と同じ位・・・って・・・一杯いるだろ。」
「そう、だけどね。
やっぱりはぐれちゃったかなぁ・・・・・・。
そういえば、トラップ君は何で悩んでるの?」
突然、話題を変える少女にトラップは面食らう。
が、何故か、そのまま話してしまった。
まだ会って数分の、名も知らぬ少女に。
「・・・というわけだ。」
「ふーん・・・・・・。
その想い人さんにはトラップ君の気持ち、伝えたの?」
「・・・・・・。」
「ないんだね?」
「・・・・・・気持ち伝えて、関係が変わるのも怖いんだよ、俺は。」
何度、自分の気持ちを伝えようと思ったか分からない。
いつだって自分の気持ちは彼女しか見てないのに。
けれど、今のこの関係を壊す勇気もトラップにはなかった。
「君とその人の関係って・・・そんな弱いものなの?」
「そんなわけ・・・ないだろ。」
「心のどこかではそう思ってるんだね?
だから、壊すことに繋がる行為を恐れる・・・。違う、かな?」
「いや・・・お前の言う通り、だな。」
「あのね、壊すって、いい意味では滅多に使われないけどさ。
私はこう思うんだよね。
何かを作る為には何かを壊さなきゃいけないって。」
「作る為に・・・壊す?」
トラップは怪訝な目で少女を見る。
その瞳はどこまでも澄んでいた。
「男なら当たって砕けなよ。」
「・・・・・・出来たらとっくにやってるよ。」
「やんなきゃいつまで経っても変わらない。
想い人さんが本当に好きなら、大丈夫だよ。」
その言葉に観念したのか、トラップがため息をついて言った。
「あーもう、わーったよ。
明日、俺の誕生日に言う。」
「頑張ってね、応援してるから。
あ・・・・・・じゃあね、また今度!」
そう言って少女は去って行った。
トラップはしばらくして、少女の名前を聞くのを忘れた事に気付いた。
だが、彼女の言葉で勇気が出た。
明日、パステルに告白しよう。
そう、心に決めたトラップだった。
次の日。
色んな人から「誕生日おめでとう」と言われる中、パステルを探すトラップ。
村はずれで見つけた彼女の姿。
急いでそこに向かう。
「パステル!」
「あっ、トラップ!ちょうど良かった。話したい事が「俺、お前が好きだ!」
「え・・・・・・?」
「聞こえなかったか?
俺はお前が好きだ。例え、パステルがクレイを好きでも俺は「私・・・も。」
「は・・・・・・?」
「私もトラップが好き。
先に言われちゃった・・・。
本当はこれを渡して言おうと思ってたのに。」
そう言ってパステルは両手の平に二つの包みを出した。
一つは昨日、クレイと一緒にいた時に見たもの。
もう一つは・・・・・・
「これは・・・?」
「これね、昨日、クレイと一緒に買いに行ったの。
パーティ皆でお金を出し合ってね。
もう一つは・・・・・・その・・・。」
それはクッキーだった。
トラップの顔の形をした。
「ハ・・・ハッピーバースデイ、トラップ。」
「あ・・・ありがとな、パステル。」
そう言いながら赤くなる二人の耳にいくつかの声が聞こえた。
「ちょ・・・押さないで下さいよ、見つかるでしょう!」
「キットン、もう少し向こうに・・・。」
「クレイ、無理言わないで下さい、ノルがいるんですから。」
「ルーミィ、行っちゃ駄目だ!」
「お前ら、何してんだ・・・?」
そう聞くトラップの目には自分のパーティメンバーが勢揃いしていた。
そしてそのままバースデイパーティに突入したとさ。
めでたしめでたし。
(全然めでたくねぇだろ!おい!)