<<ほっとけない二人・・・>>





…キィ…




扉が申し訳なさそうに軋むと、
その人物は猫のようにしなやかに部屋に入って行く。


するとそこには既に先客が窓から外を覗いていた。

しかし振り返ってその入って来た人物を確認すると、
いつもの彼にしては珍しく声をひそめて話始めた。


「…そちらはいかがでしたか?」

聞かれた彼女は美しい唇の端を少しだけ歪めて不敵に笑う。



そして…


「もう分かってるんじゃない?答えは外にあるはずよ」




外では小麦色の髪を一つに束ねた少女の元へ一人の少年が近寄って行く所だった。




「…流石ですね」


彼はニヤリと笑って言った。

「彼…トラップにあのような決断をさせるとは。
パステルも鈍感ですがそこは一応女性ですし、
こちらは少ししか手こずりませんでしたがね…

そちらはかなり苦戦したのでは?」


聞かれた彼女…マリーナは窓に近づきながら答えた

「トラップは…気付いてたのよ自分の気持ちに。
でもだからこそ行動にできなかった…そこが一番難しかった所ね…」


そういってマリーナは窓からそっと二人を見ている。



外では鮮やかな赤毛の少年…トラップがパステルに何か渡すところだった。
パステルは少し恥ずかしそうにしている。



「…すごいわね。パステル、自分の気持ちに気付いたの?」


驚きながら尋ねたマリーナにキットンは

「いや、まだ彼女は恋だとは気付いてないのではないでしょうか」


そう言って窓の外に視線を戻す。



ちょうどパステルがプレゼントを受け取るところだった。



「…しかしパーティーの仲間としてではなく、
トラップ自身を見つめてみて彼女なりに気づきはじめてるんじゃないですか?

…自分の気持ちに」



プレゼントを受け取った彼女はとても幸せそうに、まるでひだまりのような笑みをこぼしている。



「…なるほどね。やっぱりそう簡単にはいかないのねぇ」


マリーナは窓に寄りかかると頬杖をついて小さなため息をついた。




「やっぱりと言うと?」


マリーナの隣に来て窓から身を乗り出すようにしてキットンは尋ねた。

するとさっきとは違い、
まるで姉妹や兄弟を見守るように柔らかに笑いながらマリーナは答えた。


「私は年頃の女の子が欲しそうな物をプレゼントしたらって言ったのよ…

トラップったら、なんて言ったと思う?」


「なんて言ったんですか?」


するとマリーナは少しだけ誇らしげに、そして困ったような顔をしながら

「「俺はアイツを…年頃の女として好きになったんじゃねぇ。
一人の冒険者として、人間として…だ。だぁら、他の男がやるようなもんじゃ意味ねぇんだよ…」ってさ」


そういって彼女は目を細めた。



パステルにお礼を言われたトラップがそっぽを向いている。



それは友達と呼ぶにはぎこちなく、恋人と呼ぶにはあまりにも子供っぽさが残る仕草だった。




「なるほど、トラップらしいですね」


キットンも二人をみつめながら言う。


「それでは彼は一体何を渡す気なんでしょうか?」

「…さぁ?誕生日プレゼントに飾り用のレース贈った人ですからねぇ」


二人は窓から何をプレゼントしたのか見ようとしたが、
ここからでは丁度影になって何をパステルが受け取ったのか分からない。



そのうちルーミィとシロちゃんが走り寄って来て、


いつもの"パーティーの仲間"に戻った二人は・・・宿にもどって行った。



「…あの調子じゃ、まだまだ時間がかかりそうね」

宿にもどって行く一行を見送りながらマリーナがつぶやく。


「しかし今までに比べたら、随分と進展したのではないですか?
少なくとも彼らにしては良い展開じゃないですか?」


まるで彼らの弁解をするようなキットンの発言にマリーナは堪えきれずにクスクスと声を漏らした。


「…まったく私たち何してるんだか!」



窓の外にはクリスマスの準備に忙しい人々や、
互いに暖めあう恋人達がそれぞれの幸せに浸っていた。



「もう!こっちはクレイのマフラーを切り上げて来たってのに!!」


そう言ってストンと椅子に座ったマリーナだったが、

その顔は隠しきれない笑みで溢れている。



それを見たキットンもいつものようにギャハギャハと笑いながら

「まったくです!」と言葉をこぼす。


「…でも、なんかほっとけないのよね…あの二人」

「はい、確かに。
…さぁノルやリタも首を長くして待っているはずですよ」


キットンに急かされてマリーナも椅子から立ち上がると大きく伸びをしてから

「あぁ、今日中にマフラー編まなきゃ!」そういって部屋を後にした。


マリーナを見送ってから

キットンはもう一度窓に近寄り




「…私も、スグリに会いたくなってしまいましたね…」
そうつぶやいてその場を去っていった。





そんな人々の気持ちを優しく包むかのように…



今、静かに雪が降り始めた。
























<<あとがきみたいなの>>


・・・すいません本当にすいません。

てかキットンも大好きなんですマリーナも好きなんです。



なんか二人はじれじれな二人を影で応援してそうだなーなんて。




で。




きっと今回の一大事も彼らのおかげであろうと・・・


・・・だってヘタレには無理だから(爆



文才ないので鬱状態になりつつも頑張って書き上げましたー。


・・・まぁそれでこのレベルかって言われたら何も言えないんですがorz




それではお読みくださってありがとう御座いました!!

是非是非、年賀状のリクなぞしてくださりましー。



良いクリスマスと、年越しを!!





by管理人